徒然

日々思ったことをつらつらと書いていこうと思います

家族の形(2)-同性婚(世界編)-

はじめに  私は国際家族法を専門としており、その中でも同性婚について研究しています。このブログは私が思ったことを書くというコンセプトで始めたのですが、私の研究内容を書くことはあまりなかったので、一度まとめようと思い、まとめてみました。知りたい方も多いため、できる限り、わかりやすく書きたいと思っています。

 


同性婚の歴史
  1989年、同性婚とは違う保護形式であるパートナーシップとしてデンマークで始まりました。このことは世界ではかなり衝撃的だったと聞いています。その後、北欧を中心にパートナーシップ形式で法的保護が進みました。
    時は過ぎ、2001年、オランダで婚姻が同性カップルにも解放されました。そこから、婚姻が同性カップルにも開放する動きが高まっていきました。同性婚法制化をきっかけに、パートナーシップの廃止も進んでいきました。
   1960年代まで同性愛は、イギリスやアメリカなどでは犯罪とされていました。これは、宗教に起因するものです。同性愛処罰を定めた法をソドミー法というのですが、ソドミーという言葉はソドムの村から来ています。この村は色欲によって滅んだとされ、自然に反する色欲が原因とされています。この自然に反するの部分が同性愛とつながってきています。
   しかし、市民の多くの活動があり、同性愛が脱犯罪化しました。ソドミー法のあったイギリスでは2005年にパートナーシップ形式で、アメリカでは2012年に連邦裁判所が同性婚を排除する法律を違憲であると判断するに至っています。

 


同性婚の現状
   最近、アジアで初の同性婚を認めるに至ったとして台湾の同性婚が報道されていました。また、タイでも同性婚容認に向け、法案が閣議決定されるに至ってます。コロンビアでも同性婚が合法化され、南米では4か国目とのことです。
   しかし、一方で、西アジアでは同性愛は迫害の対象である。同性愛は死刑となっています。また、人権の観点から進んでいるイメージを持っている欧州も東西で大きく違っています。西ヨーロッパは、かなり同性婚・パートナーシップの形で法律上保護されています。
   イタリアはカトリックの国で、同性愛に対してかなり厳しい対応を行ってきました。スペインも同様です。しかし、欧州には人権条約という条約があり、個人の権利、家族の権利がかなり広く認められています。その人権条約に基づいて、同性婚を容認するようにという判決が出されました。その結果、2014年ごろには両国で同性婚を容認するようになっています。
   しかし、東ヨーロッパの状況は大きく違います。東ヨーロッパは、東方正教会の影響から同性愛に対して厳しい国が多いです。
   EUにはEU全体を範囲にする法律があり、その中に人権を保証する法律もあります。その中で、かなり人権を守る方向に動いているのですが、婚姻はそれぞれの国で決めてくださいとなっています。そのことから、EUとして各国に同性婚を強要できないようになっています。これは同性婚が各地で認め始められていた時期に成立したため、自国の婚姻を同性婚から防御するために定められました。
    そのため、東ヨーロッパの国(ブルガリアポーランドなど)は、憲法で婚姻は1人の男性と1人の女性によるものであると明記し、パートナーシップといった婚姻ではないシステムもありません。このことは度々法律問題になります。今年3月、ルーマニア人の男性とアメリカ人の男性のゲイカップルがルーマニア帰国するに際して、パートナーを家族として居住しようとしたところ、拒否されるという事件の判決が出ました。
   このように、世界の状況はまちまちです。同性婚容認を進めている地域は、親権をどうするかといった婚姻容認に付随する権利の議論が進められています。

 


同性婚の形
  今まで同性婚について、歴史と今現在の世界の様子をみてきました。ここでは、実際にどういう形で権利が認められているのかを見ていきます。
    歴史的にはパートナーシップと婚姻という形があります。パートナーシップは、婚姻ではなく、別の形で法律上保護しようとするものです。一方、婚姻は男女のカップルと同じ婚姻を同性カップルにも認めたものです。
    パートナーシップはさまざまな形があります。最初にパートナーシップを認められたときは、ほぼ婚姻と同じでした。親権に関して少し異なっていましたが、婚姻ということに抵抗があるから、別の形にしたのかと思えるものでした。また、フランスではパックスと言われるかなり弱い形もあります。これは相続といった財産に関係するところに関わっており、婚姻よりもゆるい形で成立します。このパックスは男女のカップルにも認められています。
    最近認められた台湾でも、婚姻ではなく別形式になるとされており、同性婚を認めましたが、男女カップルに認められるものとは異なる形式になると予想されています。
   婚姻を同性カップルにも認めた国でも、親権などの分野で男女カップルと異なることがありましたが、徐々にその差はなくなりつつあります。

 


おわりに
  今回の記事では世界の状況をさらっと紹介してきました。ヨーロッパやアメリカでも同性婚には多くの問題があります。それを細かく取り上げませんでしたが、そのことを心の片隅に置いていただければと思います。
   次回は日本のことについてお話ししようと思います。日本のことは多くの人に関わりますし、現在裁判がされていることもあり、注目されている方も多いと思います。ですので、少し細く書いていこうと思います。
   できる限りわかりやすく書いたつもりですが、わからないことがあればコメントで質問していただければと思います。